【 偶然と必然の狭間 @ 】 台 風 発 生 日本列島を上陸しながら横断する可能性あり 『の所へは今夜じゃないの?』 『みたいだねぇ。』 『・・・さん・・・余裕だね。』 『余裕って言うか、あんまり台風の被害って無い地域だから。』 『それを余裕って言うんじゃあ?』 『・・・あれ?』 『兎に角、気を付けてね!』 『そうそう、今回のは規模も大きいらしいしさ。』 『おう!・・・って、ここの次はの所へ行くんだぞ、この台風は。』 『ちゃんの所は明日の夜だっけ。』 『うん・・・で、その次がさんの所。』 『ホントに横断するんだねぇ・・・』 『ここまでのも珍しいよね。』 『今の状態でチャットしてるのも珍しいと思うけど?』 のこの言葉に、パソコンの前で苦笑するしかない。 『じゃあ、風も強くなってきたし、そろそろ落ちるね。』 『うん、気をつけて。』 『明日の朝にでも、無事通過メールを2人に送るよ。』 『絶対だよ!やっぱり心配だから・・・』 『ありがと。それじゃ、おやすみ〜』 『おやすみ。』 『おやすみなさい。』 翌日の夜、とはそれぞれパソコンの前。 『からメール届いた?』 『ううん・・・』 『そっちもか・・・私のところにも届いてないんだよね。』 『忘れてるだけかと思って、こっちからも送ってみたんだけど・・・』 『うん、私も・・・』 『何かあったのかな・・・』 『台風の所為で電波が悪いのかもしれないし。』 『そう・・・だよね。』 『今夜はちゃんの所が直撃なんだから、気を付けてね。』 『うん、さんも明日気を付けてね。』 『明日の朝、メールもらえる?』 『もちろん!』 『それじゃ、おやすみ。』 『おやすみなさい。』 言い知れぬ不安を拭い切れぬまま、2人はパソコンの電源を落とした。 そのまた翌日の夜。 の元へは、からもからもメールが届いていない。 「の事があるから、ちゃんなら絶対にメールくれるはずなのに・・・」 思わず口からもれた言葉。 自分が発したそれが、不安を掻き立てる。 『―――――!』 っ!? 何か聞こえた気がして見回すが、誰も居ない。 「・・・気のせい?」 『―――・・・て!』 「!?」 『・・・さ・・・ん・・・』 「ちゃん!?」 部屋を飛び出し、そのまま玄関へと向かうの耳に、再び声が届く。 『・・・・・・ダ・・メ・・・』 っ ! ! ! ? ? ? 家を飛び出したの目の前に、黒い大きな何かが・・・ 「・・・雲?」 呆然と呟くの耳に、今度こそはっきりととの声が届く。 ・・・その黒い雲の中から・・・ 「!逃げて!!!」 「さん!早く!!!」 「!?ちゃん!?何処にいるの!?」 「「 ダメーーーーー!!!!! 」」 2人の叫び声を嘲笑うかのように、その黒い雲はを飲み込み、 その空間から姿を消した。 |