【 想いの連鎖 A 】





そこは幕末の世界。

瞬、都と合流した白龍の神子ゆきは、下関港へと向かっていた。

その途中・・・



「瞬兄、都・・・あれは、何?」



ゆきの指差す先には、頭上高くゆっくり降りてくる光。その中に何かの影が見える。
最初は黒い点のようだったそれは、近付くにつれだんだん形がはっきりしてきた。

「・・・人?」
「お、おい・・・あの光消えそうだぞ。」
「あっ・・・落ちる!」

「あ、こら、ゆき!」

駆け出すゆきを追いかける、瞬と都。





光を見失った場所へ来ると、3人は辺りを見回す。

「多分・・・この辺だよね。」
「この木の上くらいで、光が見えなくなったと思いますが・・・」
「あっ!あそこに倒れてるのそうじゃないか?」
「本当だ、大変!」
「ゆき、動かさないで下さい。頭を打っているかもしれない。」
「あ、そうだね。」

瞬が3人を診る間、ゆきと都も心配そうに覗き込む。

「よく見たら、3人とも私らとあまり変わらないくらいだな。しかも3人とも女の子。」
「うん・・・大丈夫かな・・・瞬兄どう?」
「外傷はないようですが・・・」

そう言いながら瞬が指先で、の前髪をサラリとすいた。

その瞬間、がゆっくりと目を開く。

その瞳に、一瞬吸い込まれるかのように身動きが取れなくなった瞬だったが、すぐに我に返り、

「気が付いたようですね・・・気分は?どこか痛い所は?」

の背中に腕を回し、ゆっくり抱き起こしながら問い掛けるが、
当然、は目の前の展開についていけない。



( え?え?瞬兄?瞬兄だよね?なんで瞬兄が目の前にいるの!?)



「んっ・・・」

「おい、瞬!こっちも気が付いたぞ!」
「瞬兄!こっちの人も!」

目を覚ましたも、目の前にいるゆきと都に一瞬固まるが、こっちの復活は早い。



「あ〜・・・お約束?」
「ははは・・・」

「「 え? 」」

苦笑するにゆきと都は首を傾げるが、そこは答えられないのでとりあえず話を変える。



「助けてくれて、ありがとう。」
「いや、私ら何もしてないし。それより痛い所とかないのか?」
「う〜ん・・・・・・大丈夫みたい。」

一通り自分の身体を確認し、答えたの後に続き、も頷く事で伝える。

「良かったぁ・・・」

ホッとして、にっこり笑うゆきの後ろから瞬の冷静な声が、

「それで・・・あなた達は一体どこから?」



「「「 え? 」」」



「あんた達さ、光に包まれて落ちてきたんだよ、空から。」

都が上を指差すのにつられ、3人も空を見上げながら首を傾げる。

「分からない・・・」
「うん・・・ここが私達の世界じゃないのは分かるけど・・・」
「それ以外は、私達にも分かりません・・・」

3人の言葉に、今度はゆき達が固まる。

「あ、あなた達も・・・?」
「え?」
「あなた達もこの世界の人じゃないんですか!?」

「あ〜・・・でも、あなた達と同じ世界の人間でもないよ。」

「「「 え? 」」」

の言葉に、再び固まるゆき、都、瞬。

「それより名前教えてよ。私は。」

です。」

です。」

誤魔化すように笑いながら聞く。その後にすぐに続いたの様子に、
これ以上深く突っ込まれるのは困るという意を汲み取った都は、肩を竦めながら返す。

「私は都。この子は従姉妹のゆきで、こっちは幼なじみの瞬。」










「3人だけで行動してるって事は、まだ序盤って事?」

小声で聞いてくるに『多分ね』と、これまた小声で返してからゆき達へと向き直る

「あの・・・私達何処へ行くのかも、何をしたらいいのかも分からないんで、一緒に行ってもいいかな?」

「もちろん!ここは怨霊とかいて危ないし、一緒に行こ!」

「俺と都で守るから、心配しなくていい。」

「あ、ありがとうございます!」

「い、いや・・・」

笑顔でお礼を言うから、照れて顔を背ける瞬。

思わず吹き出しそうになるのを必死で堪える、、都。

意味が分からず首を傾げるゆきと、当然分かっていない



「あ〜楽しくなりそうだ♪」
「うん!」



都とゆきのやり取りに、顔を見合わせる

「あれ・・・楽しいの意味に、かなりの隔たりがあるよね。」
「確実にね。」



「どういう意味ですか?」



首を傾げながら聞いたは、ニヤリと笑ったに思わず顔が引き攣る。

・・・さん?」
「気にしない、気にしない。まだまだこれからだからね〜」
「うわぁ・・・も楽しそうだ。まぁ、確かにこれから・・・だよね。」
「そ、まだ始まってもいないようなもんだし。他にも出てくるかもだし♪」
「どうなるか分からないよね。」
「瞬自身も、今は気付いてないだろうしな。」

意気揚々と歩き出す3人の後ろから、顔を見合わせ苦笑しつつ続く3人。

賑やかになりそうだと思いながら。