あるバレンタインデーの風景





今日は、2月14日。
年に一度、女の子からの告白が公認されている日。
別に「必ず」ってわけじゃないけれど、
日本のお菓子業界の企みって言われているけれど、
それでも、女の子にとっては大切な日で。
もちろん、それを心待ちにしている男の子諸君にとっても、大切な日で。


私の気持ちがたくさん詰まった手作りのチョコレート。
勇気を出して渡すまで、すっごく、すっごく怖かった。

でも、受け取ってくれたあなたの表情を思い出すと、今も顔がほころんでしまう。





いつも涼やかな彼は、その整った顔を朱に染めて、「あ、ありがとう……大切にいただく」、と一言つぶやいて。


いつも大らかな彼は、鋭い視線を逸らして、「ありがとうな、ゆっくり味わって食うよ」、と照れながら口を尖らせて。


いつもぼんやり顔の彼は、大きな瞳を何回も瞬かせ、「ありがとうございます。すごくうれしいです」、と天使の笑顔を見せて。


いつも元気いっぱいの彼は、顔を夕陽よりも真っ赤にして、「わわっ、どどどどうしよう……、すっごくうれしい」、とわたわたして。


いつも作った笑顔を貼り付けている彼は、当然という表情で受け取ったけれど、帰りに別人のようにすっごく丁寧にエスコートしてくれて。


いつも優しく助けてくれる彼は、「えっ? おれに?」、と驚いた後、普段よりも柔らかく優しい笑みで喜んでくれて。


いつも飄々として本心を見せない彼は、「……参ったな」、と困ったように天を仰いだけれど、でもその表情はぜんぜん困ったように見えなくて。


いつも公園でしか会うことのない彼は、「えっ? ホントに? これを僕にくれるの?」、と何度も何度も確かめては幸せそうな表情を浮かべて。


いつも正門前でしか会うことのない彼は、「甘いものは好まないのだが」、と言いつつも穏やかな表情でさりげなく胸ポケットに閉まってくれて。








私の気持ちを受け取ってくれたあなたへ

誰にも見せたことのない優しい表情を私にだけ見せてくれたあなたへ

最高のバレンタインのプレゼントくれた、大好きなあなたへ




『ありがとう』の感謝を込めて









Next WhiteDay 。。。