【 偶然と必然の狭間 B 】





「いったぁ・・・、無事?」
「あいたた・・・何とか・・・」
「生きてる・・・」

二度目の衝撃の為か、気を失う事はなかった3人。





「大丈夫?」





「「「 !? 」」」





突然聞こえてきた声に、3人は勢いよくそちらを振り向く。





そこには、1人の少年が小首を傾げて立っていた。





「・・・白龍?」
「うん。」

名を呼ばれた事に驚きもせず、にっこり笑って頷く白龍。
逆に、心底驚いたのは名を呼んだ方で・・・



「「「 えぇっ!? 」」」



とりあえず落ち着け・・・と、深呼吸。

ついでに、自分を抓ったりもしてみる。

「あまりにも現実離れしてるけど・・・」
「夢じゃないって事だね・・・」
「うん・・・」

言葉にして現実として受け止め、それぞれの中で納得させる3人。
そして、改めて白龍と向き合う。

「白龍・・・なんだね・・・?」
「そう呼ばれる事もある。」
「あっそっか・・・」
「龍神だから、本来正式な名前なんてないんだっけ。」

「じゃあ言い直す。・・・白龍でいいんだね?」

「うん!」

にっこり嬉しそうに笑う白龍に、自然と3人も笑顔になる。

「私は。」
「私はだよ。」
「私は。よろしくね白龍。」



・・・・・・・・・」



何か大切なものを噛み締めるかのような白龍に、3人は顔を見合わせるが、
今はそれよりも聞きたい事・・・というより、確かめたい事がある。

「白龍、ここって・・・」

「時空の狭間。」

「「 やっぱり・・・ 」」





「さっきまでとは違う、時空の狭間。」





「「「 ・・・え? 」」」





「さっき、達が居たのも、時空の狭間。」





「「「 えぇ!? 」」」





「あの狭間は時間が遡る。」

「さかのぼる?」

「皆の身体の時間も遡ってる。」

「それって・・・」

「じゃあ、私達あのままあそこに居たら・・・?」










「消滅してた。」










「「「 っ!!! 」」」










白龍の言葉に3人は絶句し、それを想像してゾクリと震える。

「白龍があそこから私達を助け出してくれたんだ?」
「うん。」

「「「 ありがとう! 」」」

3人からの感謝の言葉に、嬉しそうに笑って頷いた白龍だったが、その顔がスッと翳った。

「・・・白龍?」

「でも・・・貴方達は・・・私の神子じゃない・・・」

その言葉に、3人は顔を見合わせる。
自分達は確かに白龍の声を聞いた。その声が届いた。



でも・・・



『自分達は白龍の神子ではない』



何故かそれだけは、はっきりと分かっていた。










「神子・・・」

白龍の呟きに、3人がその視線の先を追うと・・・

「あれは・・・望美ちゃん?」
「将臣くん・・・」
「譲くん・・・」

見た事ある顔に、しばし呆然としていたが、ハタッと気付く。

「ちょっと待ってよ。この後の展開って確か・・・」

「あっ・・・もしかしなくても・・・」

「やばいんじゃあ・・・」





「「「 キャーーー!!! 」」」





3人三度目の・・・そして、今回は3人がバラバラに・・・何処かへと飛ばされて行った。