【 想いの果てに・・・ B 】





原田の腕の中で、がゆっくり目を開く。そして、

目の前にいる男達を1人ずつ見て・・・そのまま、固まる。





は、何故か永倉の後ろに隠されていた。





「僕の名前、分かりますか?」

「あ、あの・・・沖田・・・さん?」

恐る恐る答えたに、沖田はにっこり笑って、

「ああやっぱり、あなたも分かるんですね。」

そう言った沖田の何かに、は引っ掛かりを覚える。
頭の中で沖田の言葉を復唱し・・・

『やっぱり?あなた“も”!?』

そこに気付いて顔を上げたを見て、沖田と永倉は顔を見合わせ、頷く。

「オメー、こいつの事知ってんじゃねぇか?」

永倉の後ろから、『もう、どうとでもして!』状態のが出てくる。

!?」
・・・やぁ。」
「やぁって・・・」

思わず脱力するを見て、クスッと笑ってから、

さんっていうんですね。」
「あっ自己紹介してなかったよね、です。」
「沖田 総司です・・・って、知ってましたね。」
「はい、知ってます。」
「へぇ〜じゃ、俺の事も知ってんのか?」
「永倉 新八さん・・・ですよね?」
「おう!オメーがで、そっちがな?」

は、1度顔を見合わせてから永倉へと視線を戻し、コクンと頷く。

「それじゃ、俺は?」

の顔を覗き込み、尋ねる藤堂の顔は気期待に満ちている。

「藤堂 平助くんと・・・」

視線を上へ向け、

「原田 左之助さん・・・」

「お、おう。」

その様子を見ていたが『あれ?』と思い、開こうとした口を永倉が手で塞ぐ。

「んっ!?」
「黙ってろよ。」
「・・・・・」

永倉と藤堂が目で合図を交わし、ニヤリと笑う。

「ところで、左之さん。」
「なんだよ?」
「いつまでさんを、抱いてるつもり?」

にっこり笑顔付きの藤堂の台詞に、原田とは固まり、次の瞬間真っ赤になる。



そして・・・



「うわぁっ!?」

さん!」

原田が思わず投げ出したを、藤堂が受け止める。

「左之さん!何すんのさ!」

「誰の所為だ、誰の!」

「「 左之(さん)! 」」

間髪入れず返してきた永倉、藤堂に、脱力する原田と苦笑するしかない




















「それで、オメーらこれからどうすんだ?」

永倉の言葉に、は顔を見合わせる。

そもそも、何故ここに居るのかさえ分からないのだ。
兎に角、整理しようと2人が話し出す。





「ねぇ、あの時に何があった?」
「えっとね・・・ゲームがパソコンの横にあるのに気付いて・・・」
「うん、その話をしてたよね。」
「その後、そのゲームに触ったら、そこが光りだして・・・」
「光りだした?」
「うん。その光に包まれたような気がしてから・・・覚えてない、は?」
「私は、パソコンが光りだして・・・」
「・・・え?」
「その光に包まれたんだよね・・・」
「同じ光かな・・・」
「多分・・・」
「メッセで繋がってたから!?私がを巻き込んじゃったの!?」
「それは違うと思う。私の横にもゲームがあったし。」
「あ・・・も持ってきた覚え、なかったんだっけ。」
「うん、だからが巻き込んだんじゃないと思うよ。」
「ありがと。」






「オメーらの話、全く分からねぇ。」

永倉の言葉に、原田、藤堂は大きく頷き、沖田は苦笑を浮かべる。
一方、も、頭を抱える。

今の話を、彼らに分かる様に説明するなど、出来るはずもないのだ。



「アンタらは、どっから来たわけ?」

いきなり1番答えにくい質問をする藤堂。

「う〜ん・・・こことは違う世界っていうか・・・」
「違う空間っていうか、異次元なんだけど、意味分からないだろうし・・・」

何と言ったらいいのか困る2人だったが、その説明で、4人はなんとなく納得していた。
何しろ、いきなり空間に現れたのを、この4人は見ているのだから・・・

「ならお前ら、行くとこないんじゃねぇか?」

「「 うっ・・・ 」」

「僕達が、連れて帰るしかないですよね。」
「屯所にか!?大丈夫かよ・・・」
「それ以外にどうすんのさ。それとも、新八さんが囲うの?」
「なっ!?」
「平助、無理言うなよ。んな甲斐性あると思ってんのか?」
「左之!てめぇ、人の事言えんのか!?」

『あ、否定はしないんだ』とは同時に思ったが、当然口には出さない。










結局、他に良い案は浮かばず、は屯所へと連れて行かれる。
これからどうなるか分からず、自然表情が暗くなる2人に、

「んな顔すんなよ。」
「そうだよ、俺らがついてるんだからさ。」
「心配すんな、悪いようにはしねぇよ。」
「僕達を信じてくださいよ。」

そう言って笑う4人。

そんな彼らにコクンと頷き、肩の力を抜く。『なるようにしかならないのだから』と・・・